「アレルギー卒業」は食物アレルギーを持つご家庭の目標となることが多いのではないでしょうか。
ただ、患者さんによってあっという間に耐性獲得する方もいれば、長年食物アレルギーと付き合い続けている方もいます。
これまでに複数の病院で食物アレルギーを持つお子さんと関わってきた経験から、気づいたことがありました。
それは、食物アレルギーが長引いている患者さんは、「成功体験が少ない」ということです。
例えば、食べる検査(負荷試験)をやってみたけど、蕁麻疹や咳、腹痛が出てきてしまい、何も変わらなかった(完全除去のまま)や、自宅や学校で誤食してしまいとても苦しい思いをした等です。
これらの経験はアレルゲンを嫌いになる(負の感情を持つ)大きなきっかけになってしまいます。
アレルゲンをしっかりと除去するという意味では、嫌いな味や見た目から避けることができるので良いかもしれません。
一方、最近の研究からは、耐性獲得を目指す方法の一つとして、敢えてアレルゲンを積極的に食べることが大事であることが分かってきました。
アレルゲンを克服する為とは言え、大嫌いなアレルゲンを積極的に食べましょうと言われた子はどのように感じるでしょうか。
「食べたくない」や実際に「食べない」という子どもの反応は、ごく自然なものだと思います。
その為、将来的に耐性獲得を目指す為に大切なことの一つとして、
食物アレルギーを持つお子さんに必要なことは、「嫌いにさせないこと」
その可能にする方法は、「成功体験を積んでもらう」ことだと思っています。
初めはごく微量でも良いので「食べても症状が出なかった」から始め、ゆくゆくは「美味しい」と感じとれるようになるまで、専門医である我々は彼らを導く必要があるのだと考えています。
完全な私見ですが、1歳頃からアレルゲン摂取できると、先が明るいのではないかと考えています。
もちろん、ごく微量すら食べることすらできない子がいるのも理解しています。
ただ、そんな重症のお子さんこそ食物アレルギーが長引くリスクが高い子かもしれません。
専門医の端くれとして、私もより良い診療を一緒に作れるよう、絶えず精進したいと思います。
ではまた次の記事にて
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