はじめに

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私が10数年前に医師となり、小児科を目指す事は決めていたのですが、その中で更に専門となるsub-specialityを決めかねていました。

当時は食物アレルギー診療は一般的ではなく、一部の専門家と言われる先生が細々と診療をされている、といった程度の印象しか持ち合わせていませんでした。

そして、実際に食物アレルギー患者さんが受診された時の対応は今思い出しても惨憺たるものでした。

初めて食べた食材でアレルギー反応を認めた患者さんに、外来にきてもらい取り敢えず採血を行い、陽性になった初回摂取の食材を除去しましょうとお伝えするのに精一杯で、そこから先の言葉が全く出てこないのです。

今でこそ、必要な検査やその読み方、耐性獲得に至るまでの指導方法やしっかりと除去をするための栄養食事指導など理解し、その知識を適切に用いる事ができますが、私自身が当時は右も左も全く分からない状況だったので、患者さんに何か指導するなんて以ての外でした。

寧ろ、食物アレルギーの患者さんは積極的に遠ざけてすらいました。

そんな私の意識が変わったのは、小児科後期研修中にアレルギー専門医の下で数ヶ月アレルギー診療に携わる機会を得た時でした。

その専門医の先生は、理路整然と問診を行い、採血結果を淀みなく患者さんへお伝えしたかと思えば、流れるように栄養食事指導を行なっていらっしゃったのです。

特に苦手意識を抱いていた私としては、そのような診療を間近にして青天の霹靂でした。

それまで、sub-specialityに対して全くピンッと来なかった私が、「これだ!」と思った瞬間でした。

その後専門医の先生のツテで、首都圏にある拠点病院で数年間、アレルギー専門研修に勤しみました。

当時は急速免疫療法が、食物アレルギーにおける最先端の治療方法で、学会でも良く話題に挙っていました。

私も、実際に20例程患者さんを主治医として受け持たせて頂きました。

免疫療法を導入するくらいなので、患者さん達も一筋縄ではいかない方ばかりでした。

例えば、免疫療法3食材目の高校生の子や、ピーナッツ・Ara h2ともに100越えでアナフィラキシー の既往があるピーナッツアレルギーの子、重症の小麦アレルギーで何度となくこちらから免疫療法中断の提案を行うも、継続の意思が強くて数年がかりで耐性獲得に至った子など、今思い出しても強力な個性を持った子達を沢山診させてもらったなぁと感じます。

親御さんも中々の個性派揃いで圧倒される事もしばしばでしたが、共通しているのは我が子に食物アレルギーを克服して欲しいという強い願いでした。

そんな特殊な環境で、患者さんやご家族に向き合い、一つ一つ問題を解決していく中に、私自身とても成長させて頂きました。

過去には至らない点も多々あり、周囲の方々にご迷惑をおかけしてしまった事は10や20ではきかないと思います。

その分、今まで培った経験や吸収した知識をこれから出会う患者さんやご家族に還元させて頂けたらと常々考えています。

また、アレルギー診療は年々進化し続けており、常に情報をアップデートしていかなければ、時代遅れの治療を患者さんお伝えしてしまうことになりかねません。

しかし、外来診療という短い時間の中でお伝えしたい内容を、全てお話する事はとても難しく、どうしても時間が足りません。

その為、私の頭の中で考えている事を明確に文章として記し、ブログを通してその考えをお伝えしていきたいと思っています。

また、患者さんやご家族様の視点からは、アレルギー専門医はどのように考えて負荷試験を行ったり、栄養食事指導を行なっているかを知る事で、より良い医療をそれぞれの主治医の先生と積み上げていってもらえたら幸いです

尚、本サイトにおける主張は私個人のものであり、所属団体とは一切関係ございません。

2022/1/29 更新

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