このブログを読んでいる方の中には、ご自宅や外での誤食で食物アレルギー症状が出て困ったご経験がおありの方は多いかと思います。
症状は軽い皮膚症状から重症のアナフィラキシーまで千差万別です。
一方、共通していることとして「ほとんどの食物アレルギー症状は時間が経てば治まる」ことが挙げられます。
今回は即時型アレルギーの症状が治まるまでの時間について説明します。
そもそも、色んな病気には各々治るまでの時間単位が異なります。例えば、、、
- 感染症⇨日〜週単位
- 心臓や腎臓病⇨年単位
- 食物アレルギー(耐性獲得)⇨月〜年単位
- 食物アレルギー(即時型症状)⇨分〜時間単位
このように、食物アレルギーでは根治(耐性獲得)までに必要な時間は年単位ですが、誤食などで一時的に誘発されたアレルギー症状は数十分〜数時間で改善します。
また、即時型症状でもその重症度により改善するまでに要する時間が異なります。
軽度の蕁麻疹(蕁麻疹を数個認める程度)の場合、30-60分程度で落ち着く事がほとんどです。
一方、重症の蕁麻疹(全身真赤+膨疹)の場合、症状が良くなるまで2時間近くかかる事もあります。
これは、体内の消化・吸収が影響する為だと考えられます。
体内でアレルギー反応を起こす際、アレルゲンの消化が進む(例;アレルゲンタンパク質⇨アミノ酸まで分解される)に連れて、身体の免疫反応が起こらない程小さくなってしまうのです。
その為、アレルギー症状が出始めた場合は、お薬を内服したりして5分毎に悪化しないか観察し、最終摂取から「2時間程度」観察するように心掛けて下さい。
(食物アレルギー診療ガイドラインでは負荷試験の際、最終摂取から2時間の観察時間を設けるように明記されています)
ただ、観察時間は2時間で良い場合と注意が必要な場合があります。
注意が必要な場合に関して
1.症状が強く、アナフィラキシーを起こした時
アナフィラキシーまで症状が進行した場合は、二相性反応といって発症後2〜72時間後に症状が再度出現する可能性があります。
その為、自宅や外出先で行なった治療(エピペン等の自己注射を含む)により、症状が改善したように見えたとしても、近くの救急室やかかりつけ医を受診する必要があります。
2. 多量のアレルゲンを摂取した時
一部内容が上記と重複しますが、アレルゲンを多量に誤食した際も注意が必要です。
多量のアレルゲン摂取により、アナフィラキシーを起こす可能性があるだけでなく、嘔吐により体外にアレルゲンが排出されない場合、消化・吸収するまでに時間がかかり、症状が治まるのに2時間を超えてくる事をしばしば経験します。
一方、負荷試験では負荷量を過去の病歴や採血結果から調整して検査しています。
その為、特に最近の負荷試験では、アレルギー症状が長引く事は少なくなっています。
まとめ
- 即時型アレルギーでは、症状が出たら治まるまで2時間はしっかり観察すること
- アナフィラキシーを起こした時や多量のアレルゲンを摂取してしまった時は2時間以上症状が長引いたり、二相性反応に気をつけること
アレルギー症状は出ないに越したことはありませんが、万が一症状を認めた場合は上記を参考にして頂ければ幸いです。
ではまた次の記事にてお会いしましょう。
2022.2.1 更新
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