今日は前回に続き、大豆の即時型アレルギーと花粉・果物アレルギー症候群(PFAS)の違いについてお話していきます。
先ずはおさらいから。
即時型アレルギー:2Sアルブミン(Gly m 8)が主なアレルゲンで、熱に強くアナフィラキシーなど全身症状に関わる
PFAS➡️Bet v 1ホモログ(PR-10):大豆ならGly m 4で熱にやや弱く、口腔咽頭症状が出やすい
今回は臨床的な特徴の説明をしたいと思います。
先ずは発症年齢
即時型:乳幼児期
PFAS:学童〜成人
即時型アレルギーでは、鶏卵・牛乳・小麦と似たような時期に発症します。
一方、PFASは花粉症が発症した後で発症するので、多くは学童(小学校)以降から成人期に発症します。
続いて予後(耐性獲得しやすさ)
即時型:予後良い
PFAS:予後悪い
即時型は、発症時期と同様に鶏卵・牛乳・小麦のような予後です。つまり自然に耐性獲得する可能性がある程度高いです。
一方、花粉症は一生ものの可能性が高いのと同様に、PFASは即時型アレルギーのように時が解決してくれる可能性は低いと考えられます。
その理由は現時点では不明ですが、個人的な見解ではどのようにしてアレルギーが発症したか(感作経路)の違いが、アレルギーの予後に影響するのでは⁉︎と推測しています。
即時型は肌からアレルギーが進む(経皮感作?)為、乳児期に発症する事が多いけれども、自然に良くなりやすい。
PFASは気道からアレルギーが進む(経気道感作?)為、学童期以降に発症し、その後自然に良くなりにくい。
また、Bet v 1ホモログ(大豆だとGly m 4)タンパク質の特徴として、加熱や発酵に弱いです。
その為、豆乳で最も症状が出やすく、他に豆腐やもやしでも症状を認めます。
一方、味噌、醤油、納豆、煮豆、理論上きな粉(大豆を炒って粉状にしている)も症状が出にくいです。
最後に、採血の所見です。
- 即時型
- 大豆特異的IgE抗体価(以下sIgE)陽性
- Gly m 4 sIgE陰性
- (シラカンバ sIgE陰性)
- PFAS
- 大豆特異的sIgE陽性
- Gly m 4 sIgE陽性
- (シラカンバ sIgE陰性)
Gly m 8 sIgEは、一般的な検査では評価する事が出来ないので、以上のような結果が予測されます。
最終的なまとめです。
前回の情報と併せると
- 即時型アレルギー:
- 乳児期に発症するけど、耐性獲得しやすい
- 原因は2Sアルブミン(Gly m 8)
- アナフィラキシーなど全身症状が出る事がある
- 採血では大豆sIgEは陽性だけど、Gly m 4は陰性
- PFAS:
- 学童期以降に発症し、年齢とともに寛解する可能性は低い
- 原因はBet v 1ホモログ(Gly m 4)
- 熱にやや弱い為、加工食品より豆乳やもやしで口腔咽頭周囲の症状が出やすい
- 採血では大豆sIgEとGly m 4が陽性
以上となります。
同じ大豆でも原因タンパク質が異なる事で、発症のタイミングや症状、耐性獲得しやすさが異なる。
うーん、アレルギーは奥が深いです。
では、また次の記事にて
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