以前「食物アレルギーのゴールはどこ?」という記事を、食物アレルギー診療の目標地点について総論を記載しました。
今回は具体的な数値目標について述べていきたいと思います。
前回の記事でアレルゲンを克服(耐性獲得)することを目標とした場合、
1. 鶏卵:1個(ゆで卵白約20g)+低い加熱の加工品
2. 牛乳:200ml
3. 小麦:うどん200g(約1玉)
上記の量が目標となります。
尚、4歳未満のお子さんへはこれらの1/2量を目安に除去解除の指導を行います。
どのアレルゲンでも共通しているのは、摂取可能量を少量から中等量、日常摂取量へと負荷試験を行いながら増量していきます。
少量ではゆで卵白:1〜1.5g、牛乳:1〜3ml、うどんでは1〜3g
中等量ではゆで卵白:4〜18g、牛乳:10〜50ml、うどんでは10〜50g
日常摂取量ではゆで卵白:25〜35g、牛乳:100〜200ml、うどんでは100〜200g
このように段階的に目標量を設定し、徐々に増量する事でできるだけ安全に卒業(除去解除)に至る事が可能になります。
ただし、アレルゲン毎に注意点があります。
1.鶏卵
鶏卵のメインアレルゲンである卵白は加熱によるアレルゲン性が低下します。
言い換えれば、最終的にアレルゲン性が低下していない加熱が弱い鶏卵まで摂取可能である事が、耐性獲得の条件となります。
加熱が弱い鶏卵だと、かきたま汁や茶碗蒸し、加工品ではマヨネーズやプリン等です。
逆に生卵日常生活で必要になる機会は多くないのと、サルモネラ腸炎などのリスクもあり積極的に耐性獲得しているか評価しない事もあります。
2.牛乳
時に想定している量よりずっと多くの牛乳を含んだ給食が提供される場合があります。
例えば、
シチュー(牛乳100ml相当)+コッペパン(脱脂粉乳3g;牛乳30ml相当)+牛乳200ml
の場合、合計牛乳330ml相当が一食分の給食として提供される可能性があります。
3.小麦
牛乳同様に予想以上に小麦を含んだ給食が提供される場合があります。
例えば
シチュー(うどん50g相当)+食パン(うどん200g相当)
の場合、うどん250g相当が一食分の給食として提供される可能性があります。
勿論、ここまで多いアレルゲンを含んだ給食が毎回出てくるというわけではありませんが、現在の学校給食における除去解除の意味は「出された給食は食べる事ができる」事を意味します。
誤食の原因を減らす為、今日はアレルゲン含有量が多いから減らして提供されるなどの複雑な給食提供システムにはなっていません。
目指すべきアレルゲン量は最初にお示しした通りですが、時に更に多い量のアレルゲンを含んだ給食がある事を理解した上で、学校給食における除去解除を行っていく必要があります。
本日はここまで
では、また次の記事にて
コメント