負荷試験前に中止する薬剤とその理由について

その他のアレルギー

先日のゴマアレルギーの解説はいかがだったでしょうか?

食物アレルギー診療では、採血による評価でアレルギーがあると診断できる食材から、採血結果が当てにならず負荷試験が望ましい食材まで多種多様です。

そして実際に負荷試験を行う場合、以下の薬剤は負荷試験結果の解釈(お薬で症状が抑えられたのではないか?)に影響を及ぼす可能性がある為、検査の3日前から内服薬を中止するように説明します。

・ヒスタミン受容体拮抗薬(中止する時間:72時間)

商品名:アレジオン、アレグラ、アレロック、クラリチン、ザイザルなど

アレルギー外来に通院中の患者さんでは、主にアレルギー性鼻炎で内服している事が多い印象です。他、アトピー性皮膚炎の痒みコントロール目的や慢性蕁麻疹に対して定期内服している患者さんもいらっしゃるかと思います。

ヒスタミン受容体拮抗薬は主に蕁麻疹に対するお薬です。

負荷試験中に出現する可能性がある蕁麻疹を抑制する(?)可能性があり、しっかりと3日前から中止しておく必要があります。

尚、慢性蕁麻疹に対して定期内服している場合は、内服中止によりアレルゲン摂取と関係なく蕁麻疹が出現する事がある為、敢えて抗ヒスタミン薬を内服したまま負荷試験を行う事もあります。

・ロイコトリエン受容体拮抗薬(中止する時間:24時間)

商品名:シングレア、モンテルカストなど

アレルギー外来に通院中の患者さんでは、主に気管支喘息アレルギー性鼻炎で内服している事が多い印象です。

気管支喘息では発作が起こらないように予防薬として毎日内服します。

一方、アレルギー性鼻炎では主に鼻閉(鼻粘膜の浮腫)症状に対して使用します。

どちらの疾患でも、中止後すぐに症状が悪化する印象はありませんが、少なくとも負荷試験1日前には内服を中止しておきましょう。

・β2刺激薬(中止する時間:12時間)

商品名:メプチンドライシロップ・ホクナリンドライシロップなど

アレルギー外来に通院中の患者さんでは、気管支喘息の発作時に使用するお薬になります。

その為、β2刺激薬を内服している患者さんはそもそも負荷試験を行えない可能性が高いです。

また、負荷試験前に中止すべき薬剤として、一般的には内服薬以外は中止しなくても良いのですが、吸入ステロイド薬の中でもβ2刺激薬を含むアドエアや貼付薬のツロブテロールテープやホクナリンテープは中止する必要があります。

・Th2サイトカイン阻害薬(中止する時間:12時間)

商品名:IPD

私はあまり処方経験がありませんが、適応症に気管支喘息アトピー性皮膚炎アレルギー性鼻炎があります。

そして、それぞれのガイドラインにもしっかりとTh2サイトカイン阻害薬に関して記載があります。

ご経験の深い先生のアレルギー外来を通院中の患者さんでは、お使いの方がいらっしゃるかもしれません。

・テオフィリン徐放製剤(中止する時間:48時間)

商品名:テオドール

アレルギー外来に通院中の患者さんでは、気管支喘息の予防目的に使用するお薬になります。

昔からあるお薬の一つで、吸入ステロイド薬が出てくる前には効果を実感される患者さんも多く、重宝されていたようです。

ただし、副作用の一つとして特に5歳以下の患者さんでは痙攣が多い事が指摘されています。

また、血中濃度が上がりすぎると頻脈や不整脈といった副作用の報告もあり、近年では吸入ステロイド薬などの他の長期管理薬の使用を推奨されています。

最後に吸入ステロイド薬や点鼻薬、点眼薬、外用薬(軟膏)は負荷試験前に中止する必要はありません。

唯一、β2刺激薬を含んだ吸入ステロイド薬(アドエア)に注意といったところでしょうか。

負荷試験前の説明に関して、理解しやすいように内服薬は3日前からと説明する事が多いですが、実際には薬剤によってやめるべきタイミングが少し異なります

3日前に内服中止していないからといって、絶対に負荷試験を行えないわけでもない為、正確にご申告頂ければ幸いです。

では、また次の記事にて

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