ゴマアレルギーについて

食物アレルギー

前回まで計3回に及ぶ食物アレルゲンに関する総論的な解説を行いました。

今回は最近当院で負荷試験が続いていた、ゴマのアレルギーについて解説したいと思います。

ゴマは油分50%、タンパク質20%、炭水化物20%と、油成分が多い種実の一つです。

日常的な使用方法として、ゴマ油やふりかけで使う粒ゴマ、お浸しにかけるすりゴマからドレッシングに使う練りゴマとその形態は様々です。

ゴマアレルギー患者は実際には全食物アレルギーの1%以下と少ないのですが、そのうち30%がアナフィラキシーを起こす可能性があるとも言われており、注意が必要なアレルゲンの一つです。

検査として、ゴマは特異的IgE抗体価が採血検査により評価が可能です。

しかし、ゴマ特異的IgE抗体値が100UA/ml(class6)以上であっても負荷試験陰性の患者さんも存在していたり、class4以上でもゴマアレルギーと診断されるのは50%程度だったという報告(アレルギー支援ネットワーク編,食物アレルギーの基礎と対応. 2011. p45)もあり、採血検査の有用性はあまり高くないようです。

そして、ゴマのアレルゲンとしての特徴はピーナッツと同じく、種実内の貯蔵タンパクである2 s アルブミン(Ses i 1)が、その原因のコンポーネントであり、診断に有用である事が最近わかってきました。

ただし、現時点では研究的にしか検査できない為、実際にゴマアレルギーがあるかどうか診断や評価する場合には、負荷試験が必要になります。

そして、ゴマアレルギーの患者さんでも粒ゴマやゴマ油の摂取が可能な場合があるという事が個人的に最も興味深い点です。

というのも、粒ゴマは硬い外種皮に守られている為、食事中にゴマそのものを歯ですり潰さない場合、消化を受けずに便として排泄される事がある事と、ゴマ油はアレルゲンの原因となるタンパク質がその精製過程の中で十分濾過されており、ゴマのアレルゲンがほとんど含まれていないからです。

一方、すりゴマ練りゴマは外種皮からアレルゲンであるタンパクが露出している状態であり、ゴマアレルギーがある患者さんではしっかりと症状が出ます。

このようにゴマは食事中の使われ方によって、アレルゲンとして症状が出たり、低アレルゲン化(ただ消化されていないだけ?)の結果、症状が出なかったりする不思議な食材となっています。

ゴマは単独で主菜になる事が少ない食材ですが、ペースト状にして混ぜ込んだ場合は混入している事が分かりにくくなる事から、誤食に注意が必要な食材の一つです。

また、ゴマアレルギーの耐性獲得に関して、一般的に高くないと考えられており、十分な除去対応が必要だと思われます。

本日は以上となります。

また次の記事にてお会いしましょう。

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