鶏卵や牛乳や小麦などアレルゲンとして多い食材は、日常的に誤食が多い食材です。
そして、食物アレルギーのお子さんは低年齢である程ご自宅で兄弟が食べているご飯やお菓子を誤食する可能性があり、慌ててかかりつけ医や最寄りの救急室を受診された経験のあるご両親も少なからずいらっしゃるのではないかと思います。
そんな際に専門家が救急対応で気にしているのは以下の4点になります。
- 誤食したアレルゲンの量
- 誤食したアレルゲンの形態
- 誤食から受診までの時間
- 症状増悪因子の有無
まず始めに、おおよそどのくらいの量を誤食したか把握します。
なぜなら過去と今回のアレルギー症状を比較して、受診後に起こりうる症状をある程度予測できるからです。
例えば、過去に負荷試験で牛乳を20mlほど摂取して、顔に蕁麻疹を一つ認めたことがある牛乳アレルギーのお子さんが、キャンディーチーズ(牛乳20ml相当を想定)を一つ誤食した場合、同じくらいの症状で落ち着くだろうと予測します。
次に誤食したアレルゲンの形態についてです。
特に加熱の有無でアレルギーの力(アレルゲン性)が大きく変化する鶏卵が関係します。
例えば、ゆで卵白1g程度の摂取で全身蕁麻疹を認めたことがある鶏卵アレルギーのお子さんが、卵かけご飯を数口誤食した場合、我々はそのお子さんがアナフィラキシーをきたす可能性を想定しながら治療にあたります。
続いて、誤食してから受診までの時間に関してです。
食物アレルギーの症状が軽い場合、症状が出現した30分頃にピークを迎え、2時間以上時間が経過する頃には徐々に症状が落ち着き、その後自宅で様子までに回復することが多いです。
一方、アナフィラキシーのように強い症状を認めた場合、2時間以上が経過しても症状が落ち着かないことも多く、救急受診後に入院する場合も少なくないです。
最後に症状増悪因子の有無に関してです。
最近特に多いと感じるのは、乳幼児がアレルゲンを誤食して嘔吐や蕁麻疹が出た場合、入浴で体温が上昇した為に症状が強く出てしまい、救急を受診されるお子さんです。
他に、発熱していたり、胃腸炎症状がある場合など体調が悪い時に誤食したり、誤食後に遊んで走り回ってしまい、アレルギー症状が更に強く出てしまうことがあります。
まとめると、
- 過去にアナフィラキシーを起こしたことがないお子さんが、アレルゲン性が高くない食材を、2時間前に少量だけ誤食し、大人しく病院を受診した場合、弱い症状しか認めない可能性が高いと判断します。
- 一方、過去にアナフィラキシーを起こしたことがあり、アレルゲン性が高い(例えば生卵)を、多量に誤食したお子さんが、入浴後に病院を受診したら、アナフィラキシーを起こす可能性型が高いと判断します。
このような目線を持つ事が出来れば、もし自宅で誤食してしまった場合でも、どのように受診するべきか(自宅で様子を見て後日受診する、自家用車でその日に受診する、救急車ですぐに受診する)を判断しやすいかもしれません。
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