鶏卵アレルギーと診断されるのは、主に離乳食を始める0-1歳頃です。
以前はアレルギー症状を認め、採血(特異的IgE抗体)が陽性の場合、鶏卵の除去を指示していました。
現在はアレルギー症状を認めた場合でも、「必要最小限の除去」を目指し、採血の数値を参考に積極的に食べる検査(負荷試験)を行うように心掛けています。
今回はそんな時にどうしたら良いか役立つ論文の紹介です。
「0歳児における20分ゆで卵白経口負荷試験の安全性の検討」
対象:0歳で負荷試験を行ったお子さん。
検討:負荷試験を目的毎に分けて、症状が出た割合(陽性率)や、どんな要因があると負荷試験で症状が出やすいか(背景因子)を調べる
結果…の前に
目的別の負荷試験って?
以前記事にしたこちら(https://pediatric-allergy.net/ofc/)をご参照下さい。
上の記事のうち
- 採血は陽性だけど、食べたことがない食材に対して行う診断目的の負荷試験
⇨診断目的の負荷試験
- 過去にアレルギー症状を認めた食材に対して、どれくらい食べれるか安全性を評価する目的の負荷試験
⇨摂取量確認の負荷試験
大きくこの二つについて調べたと思ってもらって構いません(正確にはもう少し詳細に分類)。
結果:
- 陽性率
診断目的の負荷試験:43%
摂取量確認の負荷試験:80%
摂取量確認の負荷試験、めっちゃ症状出るやん!ってなりそうですが、この負荷試験では半数以上の患者さんが鶏卵1/2個相当(ゆで卵白約20g)を分割して食べさせています。
0歳の乳児に良く食べさせることが出来るな〜と、子育てする身としてはびっくりするぐらいの量を一度の負荷試験で食べていることが陽性率の高さと影響しているかもしれません。
- 負荷試験陽性になりやすい背景因子
診断目的の負荷試験:卵白やオボムコイド特異的IgEが高いこと
これは、感覚的に理解できるなぁと言う感じですね
一方、
摂取量確認の負荷試験:鶏卵完全除去
- 負荷試験で強い症状が出やすい背景因子
完全除去・未摂取
負荷試験で陽性になりやすく、症状が強く出やすいのは、最近トレンドワードになっている
「完全除去」でした。
鶏卵アレルギーの患者さんにとって、しっかりと除去(完全除去)する事は、安心・安全です。
一方で、早く良くなる(耐性獲得)ことや負荷試験で症状が出ない(陰性)こと、症状が出ても軽く済む為には、卵そのものや加工品の摂取するが良いことが最近分かってきました。
尚、この論文では負荷試験で食べる量(総負荷量)を少なく抑えることで、負荷試験で症状が陰性になることや、強い症状が出ないようにコントロールできる可能性ついて述べています。
ちなみに、現在の食物アレルギー診療ガイドラインでは、負荷試験を進める場合は少量から進めることを推奨しています。
その為、早期の耐性獲得や負荷試験陰性、陽性でも強い症状が出ないように、乳児期から少量ずつ卵を食べていけると良いかもしれません。
ではまた次の記事で
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