先日、ツイートさせて頂いた内容をブログにも残しておこうと思い、加筆・修正いたしました。
題名に対する結論は、うどんよりも素麺の方がアレルギー症状を出しにくい理由は摂取するタンパク量の最少量が素麺の方が少ないからです。
つまり、素麺の方がより少ない小麦タンパク質(小麦アレルゲン)を設定し、摂取できるからです。
小麦製品のタンパク質含有量を比較すると
うどん(ゆで): タンパク質含有率(2.6%)
素麺(ゆで): タンパク質含有率(3.5%)
スパゲティ(ゆで):タンパク質含有率(5.2%)
食パン: タンパク質含有率(9.3%)
素麺(乾燥): タンパク質含有率(9.5%)
(参考:おいしく治す 食物アレルギー攻略本、第1版)
となります。
うどんの2倍のタンパク質含有率であるスパゲッティとうどんを比較すると
うどん10g(タンパク質量:0.26g)摂取可能ならば、スパゲッティ5g(タンパク質量:0.26g)の摂取が可能です。
つまり、スパゲッティに含まれるタンパク質量が2倍なので、スパゲッティそのものは1/2量の摂取が可能だという事になります。
この観点からすると、素麺(乾燥)は9.5÷2.6=3.7倍 であり、うどんよりかなり多くの小麦タンパク質を含んでいます。
常識的に考えると1gあたりに含まれるアレルゲンの量が少ない方が、より少ない量のアレルゲンを含む食品の摂取が可能になるはずです。
ですが、素麺(乾麺)は計量(重さを計る)することなく、アレルゲンを含む食品の重量を評価することができます。
というのも素麺(乾麺)は長さを計測する事で、素麺に含まれるアレルゲンの量が推測できるからです。
素麺(乾麺)の揖保乃糸(上級品)は、100gあたり8.7g(8.7%)のタンパク質含有率です。
揖保乃糸(上級品)は一本あたり約0.14g(平均値、最小0.05gから最大0.33g)と、軽過ぎる為一般的なスケールで重量を正確に計測する事は不可能です。
それぞれの食材に含まれるタンパク質量で比較すると
うどん(1g)の場合:1gx0.026=0.026g
素麺(1本)の場合:0.14gx0.087=0.012g
と素麺はうどんより、少ない量の計測が可能です。
更に揖保乃糸の長さは19cmなので、素麺1cmに含まれるタンパク質量は
0.012÷19=0.0006g
になります。
素麺1cmをゆでうどん(2.6%)で換算すると
0.0006÷0.026=約0.02g
と、ゆでうどんでは計量できない重量を素麺は長さに置き換え計測(正確には推定)できます。
当院で計測、未発表
更に、アレルギー症状は摂取したタンパク量に比例する(と考えられる)ので、少量を総負荷量としたうどん負荷試験が陽性であった場合、更に少ないタンパク量の素麺なら摂取できる可能性がある負荷試験を組める可能性があります。
とは言え、今回の記事は免疫療法の対象となりうる微量の小麦アレルゲン摂取を素麺(乾麺)で行う事を推奨するものではありません。
というのも素麺(乾麺)は、1本当たりの重量がバラつく事を確認しています。最も細い素麺は0.05gで、最も太いものでは0.33gと約5倍も異なっていました。
基本的に安全性に配慮すべき食物アレルギー診療において、この程大きな差は看過できません。
そして、今回最もお伝えしたい内容は小麦アレルギー診療において注意すべきは、食材に含まれるアレルゲン量(タンパク質量)であり、食材による違いは必ずしも大きくない可能性が高いという点です。
言い換えると、食材に含まれるアレルゲン量が分かる場合、現在摂取できているうどんや素麺の量から、加工品の摂取へと食べる事ができる食品をもっと広げる事が可能になります。
今回はアレルゲンに対する考え方の一つとしてうどんと素麺(乾麺)の比較方法をご紹介いたしました。
併せて、小麦アレルギーの耐性獲得(小麦アレルギーからの卒業)できるか?について
や、鶏卵アレルギーに関する耐性獲得(鶏卵アレルギーからの卒業)方法について
にも目を通して頂ければ幸いです。
一朝一夕で、全てを把握する事は難しいですので、「コツコツと」知識を積み重ね一緒に学んで参りましょう。
本日は以上となります。
では、また次の記事でお会いしましょう。
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