【番外】医学部受験に必要なもの 〜面接編〜

Uncategorized

そろそろ梅雨に入りそうかというタイミングで蒸す日が増えておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

今回の内容はアレルギーから離れて、私が経験した医学部受験の時の話や面接を行う側に回った時の話や、当院の研修医の先生から聞いた「これは!」と思えた奥の手になるような面接内容についてお話したいと思います。

私自身、縁あって医学部を経て医師として働いておりますが、高校2年生の頃までは医師になるつもりは全くありませんでした。

前のエントリーに記しましたように現役の時が「覚悟」が足りず、筆記試験の時点で箸にも棒にもかかりませんでした。

実際には筆記試験であれば予備校等へ行けば受験勉強のプロがいらっしゃるので、ちゃんと話を聞いて勉強すれば、それなりの成績にたどり着きます。

ですが、受験における面接は筆記試験と同じようにはいきません。

筆記試験と異なりヒト対ヒトになる為、10-20分程度の短時間ながら受験者の素を垣間見る事ができます。

今回は私自身の受験の話と面接官を担当した時の話、最後に研修医の先生の話に分けてお伝えしたいと思います。

1.私自身の受験における話

私の医師を目指した動機は至って単純でした。

尊敬する人がたまたま医師だったからです。

その先生のお名前は、中村哲先生。

病気を治す以前に、生活の基盤が崩壊していたアフガニスタンの地で井戸を掘り、緑を取り戻した医師です。

平和を作るために必要なこと。中村哲さんが私たちに残した「哲学」とは|KOKOCARA(ココカラ)−生協パルシステムの情報メディア
混迷が続く多民族国家、アフガニスタンで長年支援活動に身を捧げていた医師、中村哲さん(NGOペシャワール会)が、銃弾に倒れてから1年。中村さんの「哲学」を紐解き、平和を勝ち取るために私たちに必要なことは何かを紐解く。

講演会でお話を聞いたり、出版された本を読んだだけなので、実際にお話したり一緒に働いた事もありませんが、先生の考えにとても共感し、私の人生の目標となる先生です。

現在私はアレルギーの専門家として、病を扱うspecialistの一人です。

その診療スタイルは病気を治す事も大事ですが「どう生きいるか?」という点を診療の中心に置いています。

その為、良くなるアレルギーは患者さんと一緒に治療に励みますが、どうにもならない程重症なアレルギー児に無理にアレルゲンを摂取してもらおうとは思いません。

勿論、治療の意向が強く、免疫療法などの特殊な治療をご希望の方は異なりますが、アレルギーに懸ける時間のリターンの大きさを気にするようにしています。

アレルギーという病の治療も勿論大切ですが、それ以上に大切にしたい何かを患者さん、ご家族がお持ちならば、大切な事を第一に考え、アレルギーは重症度に合わせてどう付き合っていくかにシフトしていきます。

これらのアレルギーの話は医師になってからのものですが、かれこれ20年前以上の私の医学部受験における面接では中村先生は現在程有名になられる前でした。

その為、私は若さの勢いそのままに面接して下さった教授の先生方に中村先生に関するプレゼンと共に己の医師になりたいという動機を熱弁させて頂きました。

自分の尊敬する先生なので、面接の練習をあまり積極的に行わずとも、面接の際に質問に戸惑うことも、言葉淀むこともなく無事に終えることが出来ました。

現役時代に挫折を味わい、なぜ医師になりたいのかを自分の中で十二分に突き詰めた中での面接であった為、私の場合は特別な対策は不要でした。

2.面接する側に回った時の話

回数は決して多くないのですが、私は医学部の受験生に対する面接官を行った経験があります。

評価される側から評価する側に視点が変わると、面接の見え方が全く異なってきます。

その際感じた事としては、

・面接官は受験生から何度も同じような話を聞かされている事

・自分の言葉で語れる学生は少ない事

・過去に病に対する治療の経験をきっかけに医師を志す場合、動機が浅い場合が多い事

を特に感じました。

・面接官は受験生から何度も同じような話を聞かされている事

当然ですが、面接官は同じ日に何人もの受験生と対峙します。

すると、同じような内容の話を何度も聞く事になります。

面接の主な目的は優秀な人材を探すというよりも、人間性に問題がないかを重視するので、一定のトレーニングを受けている場合、突出して悪い点がなくなります。

・自分の言葉で語れる学生は思ったより少ない事

医学部を受験するだけあり恐らく成績は良いのでしょうが、どこか借り物の言葉であったり、一生懸命暗記した内容を話そうとしていたりして、上辺だけの浅い内容であったりしました。

面接を行う側からすると寧ろそれらは、マイナスの評価になる可能性があります。

可能であれば、質問に対して簡潔に答え、対話(会話)が成立するのが望ましいかと思います。

・過去に病に対する治療の経験をきっかけに医師を志す場合に動機が浅い場合が多い事

また、過去の受験生自身の経験を通して医師を志した場合でも、何故医師になりたいのか?看護師や薬剤師、臨床工学士など他の医療職ではいけないのか?といった根本的なところで詰まる受験生も時折見かけました。

3.「これは!」と思えた研修医の先生のエピソード

これまでに記してきたように、私を含め受験生が話す内容は大体似たり寄ったりな事多い印象でしたが、去年当院の小児科を回っていた研修医の先生が、難関と言われる医学部後期試験(小論文+面接)でかなりの好印象を得てそのまま合格された話を直接聞きました。

医学部ではどのような人材を求めているのか?

面接官はどのような人が担当しているのか?

彼らにとって好ましい内容とは?

私がその先生の話を初めて聞いた時も、これは採用したくなるなと思わず唸ってしまいました。

その先生が面接で伝えた内容とは

私は「基礎医学を学びたい!」というものでした。

確か生理学だったかと思いますが、高校生の頃にとあるテレビ番組でノーベル賞の特集を見ていて、とても興味を引かれたとの事でした。

普通、医学部といえば病院で患者さんを診る臨床医をイメージして入学する事が多いのですが、その先生は視点が他の受験生と異なっており、基礎研究を行いたいという強い動機を持っていました。

また、その研修医の先生が入学後に直接面接官だった教授と話す機会があったようで、その時の面接の内容が合格に影響していたとの話があったようです。

この内容は「需要と供給」であったり「人と違う視点を持つ」という点において、面接する側からするととても貴重な人材であると感じます。

最後の内容は私の話ではない為、どこまでが真実であるかは定かではありませんが、少なくとも私が面接官であれば、採用したいなと思いました。

さて、今回は息抜き的な内容になりましたが、次回は小麦に関する記事を計画しておりますので、しばしお待ち頂ければ幸いです。

また、次の記事にてお会いしましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました