冬休みに入り、ご家庭によっては親戚で集まる事もあるかもしれません。
普段と違う状況になると、どうしても増えてしまうのが誤食です。
普段と異なる人と一緒にいたり、食事をする機会が増えたりで、どれだけ気をつけていても起こる時には起こります。
以前、アレルギー症状を認めた時のお薬の使い方や新しいアナフィラキシーの定義についての記事を書きましたが、
本日はエピペン使用のタイミングについて解説したいと思います。
それでは、いつものように結論から述べていきます。
食物アレルギー診療ガイドライン2021(アナフィラキシーの初期治療)より
グレード3の症状を認めた場合
消化器症状:持続する強い腹痛(我慢できない)、繰り返す嘔吐・便失禁
呼吸器症状:持続する強い咳、犬吠様咳嗽、明らかな喘鳴、呼吸困難、嗄声、嚥下困難、締め付けられる様な感覚、(酸素飽和度:92%以下)
循環器症状:不整脈、血圧低下、重度徐脈、心停止
神経症状:ぐったり、不穏、失禁、意識消失
グレード2でも以下の場合
過去に重篤なアナフィラキシーの既往がある場合
症状の進行が激烈な場合
循環器症状を認める場合(頻脈、血圧計度低下、蒼白)
呼吸器症状で気管支拡張薬の吸入でも効果がない場合
とされています。
ですが、実際に症状を目にした事がないと判断しかねる項目や、血圧や酸素飽和度がないと評価できない項目、最も頻度が多い皮膚症状の項目がない等、実際にアナフィラキシーを起こしている場合に使いにくい可能性があります。
その為、講習会などではよく「迷ったらエピペンを使用して構いません」と説明される事もしばしばです。
ですが本当に知りたいのは、エピペンを使用する際に迷いを少なくする考え方なのではないでしょうか?
ガイドラインはどうしても正確に記述する必要があり、大雑把に表現する事ができません。
その為、間違いを恐れずに言葉を変えるならば、アナフィラキシーの診断基準を参考に「グレード2の蕁麻疹(数えきれない程の蕁麻疹)+他のグレード2以上の症状があれば、エピペン接種して下さい」とお伝えしています。
もちろん、皮膚症状を認めないアナフィラキシーもありますので、最初にお示ししたガイドラインに準じた対応が最も重要です。
一方で、エピペンを接種するタイミングを逃さず、迷わずに接種する為には上記の考え方でも良いのではないかと言うのが持論です。
また、ぐったり・意識消失は時に寝ている場合と判断が難しい場合があります。
この点における解説として、お伝えしたい事は2つです。
一つ目は、普段寝ていない時間に横になっている場合は、意識消失している可能性があります。
どうしても心配な場合は、声掛けや痛み刺激(胸の皮膚を思いっきりつねる;医療的には握り拳で胸骨を強く圧迫)でも反応が乏しい際は、意識消失と判断して構いません。
補足的な評価方法としては、手足が冷たくないか?や冷や汗をかいていないか等を参考にして頂きたいと思います。
最後になりますが、エピペンを使用したら「救急車を呼び、必ず病院受診」して下さい。
今回は私見を交えた、エピペン接種のタイミングの解説になりますので、誤解を恐れずにシンプルに以下にまとめました。
グレード2の皮膚症状(数えきれない程の蕁麻疹)+他のグレード2以上の症状が一つでもあれば、エピペン接種して下さい
ぐったり・意識消失の評価は、普段寝ているタイミングで横になっているのかという事とと心配なら胸の皮膚を思いっきりつねって普段通りの反応が返ってくるか確かめる
です。
ですが、可能な限りガイドラインや食物アレルギー緊急時対応マニュアルに従って下さい。
アナフィラキシーをお子さんが起こした際に、もし頭の中が真っ白になったり、咄嗟にマニュアルが頭に入ってこなかったりする場合は、上の2点を思い出してみて下さい。
迷ったら接種するのも大事ですが、迷いを減らす為に物事をシンプルに考える事をお勧めします。
ではまた次の記事にて
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