先日ツイッターに挙がっていた質問です。
同じ大豆に反応するアレルギーにも関わらず、何がどう違うのかに関してご説明したいと思います。
正確に両者の違いを述べると実は沢山あるのですが、誤解を恐れずに敢えて一つだけ挙げるとすれば、それは原因となる「アレルゲンタンパク質」が違うからです。
いやいや、アレルゲンは大豆なんだから一緒じゃんと言いたくなるので、少し深掘りしていきます。
正確にはアレルゲンとして強く反応するタンパク質(アレルゲンコンポーネント)が異なります。
ナッツ類の即時型アレルギーおける、主要アレルゲンコンポーネントとして、「2Sアルブミン」というものが存在しています。
なんだか難しい言葉が出てきましたが、頑張ってついてきてください。
この2Sアルブミンというのは植物由来の食物アレルゲンの4種類(ファミリー)の内の一つである、プロラミンに属します。
日本小児アレルギー学会食物アレルギー診療ガイドライン2016 ダイジェスト版 表5-2
地名に例えるなら、四国(植物性食物アレルギータンパク質ファミリー)の香川県(プロラミン)といった感じで、4つの県(4つに分かれるアレルゲンタンパク質の名前)のうちの一つくらいの認識で大丈夫です。
2Sアルブミンは香川県(プロラミン)の県庁所在地である高松市のように、有名な地名(アレルゲン)だと思ってください。
この2Sアルブミンはナッツ類など種子の成長に必要な栄養を供給するタンパク質の一種です。
その特徴は、熱に強く(加熱してもアレルゲン性が落ちない)、他のコンポーネントと比べてアナフィラキシーなどの強い症状と関連が強いです。
例えば、ピーナッツならAra h 2、カシューナッツならAna o 3、クルミならJug r 1と、最近のアレルギー採血項目で目にするようになった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ちなみにこの数字は各ナッツ類におけるコンポーネントが見つかった順番を指しているので、それ以上の意味はありません。
また、見慣れない大豆のGly mは学名(Glycin max)由来で、ピーナッツはArachis hypogaeaなので、Ara hとなっています。
何度も目にしているうちになんとなく見慣れてくるので、あまり気にしないでください。
その中でも、大豆の場合はGly m 8が2Sアルブミンにおける主なアレルゲンコンポーネントとなります。
ここで、あれ?とお気付きの方はアレルギーリテラシーがとても高い方だと思います。
採血で見かける大豆のアレルゲンコンポーネントはGly m 「4」だったはずです。
このGly m 4という大豆のコンポーネントは、先ほどの香川県(プロラミン)と肩を並べる高知県(Bet v 1ホモログ)に分類されます。
「Bet v 1ホモログ」はシラカンバ(白樺)花粉の主要アレルゲンであるBet v1と似ており、PR-10 (pathogenesis-related タンパク質)に属します。
日本小児アレルギー学会食物アレルギー診療ガイドライン2016 ダイジェスト版 表5-7
難しい言葉が沢山なので、簡単に言い換えるとBet v 1ホモログ(PR-10)に属するタンパク質は花粉と形(構造)が似ています。
その為、花粉症患者さんでは体内に入ってきた食べ物を花粉と間違って認識してしまい、過剰に反応してしまう事があるのです。
これが、花粉症がある人の中で大豆などの野菜や果物に体が反応してしまう理由です。
また、一般的にBet v 1ホモログ(PR-10)は熱に弱い為、加熱するとアレルゲン性が低下する事が特徴です。
生の果物の摂取で口や喉に症状を感じるけども、加熱したジャムやジュースでは症状が消える事があるのはその為です。
と、この話題は奥が深くまだまだ長くなりそうなので、臨床学的な特徴は次にしたいと思います。
まとめ
即時型アレルギー➡︎2Sアルブミン:大豆ならGly m 8、熱に強く、強い全身症状に関わる
PFAS➡️Bet v 1ホモログ(PR-10):大豆ならGly m 4で熱にやや弱く、口腔咽頭症状が出やすい
なるべく分かり易く書こうと思うのですが、中々難しいですね。。。
次の記事で、もう少し分かり易くお伝えできたら幸いです。
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