食物アレルギーを学ぶ上で避けて通れないのが、「食物アレルゲン」について知る事だと思います。
なんだが横文字も多いし、聞きなれないし、イメージつかないしの三重苦になりがちです。
ですが、アレルゲンについて知る事で、
なぜ症状がでるのか?
どのような食材を程アレルゲン食材と言えるのか?
なぜ同じ食材でも調理方法で症状に違いがあるのか?
と様々なアレルギー疑問の回答を知った時にイメージしやすくなります。
用語の使い方を中心なるべく噛み砕いて解説していきますので、頑張ってついて来て下さい。
まず始めに、基本のキから
食物アレルゲンとは?
ざっくり言って、「食物に含まれるタンパク質」を指します。
そう、普段よく耳にする糖質、脂質、蛋白質のタンパク質です。
医学用語としてタンパク質とカタカナ表記を用いていますが、蛋白質と基本的に意味は一緒と考えてもらって構いません。(医学用の選択にみられる特徴)
その中でも、特異的IgE抗体が結合するタンパク質が「アレルゲン性を有するタンパク質」になります。
タンパク質とは?
20種類のアミノ酸(グルタミン酸やアルギニン等)が数珠繋ぎに並んだものの事です。
タンパク質の性質は、構成されるアミノ酸の種類・割合・配列によって決まります。
例えば、A-A-A-A-AとA-B-A-A-Aとでは、連続するAの途中にBが入り込む事で、別の性質を持ったタンパク質になるというようなイメージです。
そして、タンパク質はその構成するアミノ酸の並び方次第で、直線構造(一次構造)や螺旋状やシート状(二次構造)に折りたたまれて、立体構造(三次構造)をとります。
例えば、バーゲンセールで並ぶ時に素直に等間隔で並ぶ人(アミノ酸)もいれば、横入りさせまいとちょっとでも隙間を埋める人(アミノ酸)、前の人の少し横に並び、どんな商品があるのか見ようとする人(アミノ酸)というように、その並び方は人(アミノ酸)によって様々です。
その為、素直な人(アミノ酸)が集まれば真っ直ぐ、偏屈な人(アミノ酸)が集まっている時はグニャグニャに並んだりするイメージです。
コンポーネントとは?
英語を直訳すると、部品、成分、構成要素となります。
食物は沢山のタンパク質の集まりですが、
その中でも「アレルゲン性があるタンパク質=アレルゲンコンポーネント」と呼びます。
例えば、良く外来で採血している項目である鶏卵のオボムコイド(正式にはGal d 1)や小麦のω-5グリアジン、ピーナッツのAra h 2と言った方がより身近に感じるかもしれませんね。
これらは全て、専門用語的にはアレルゲンコンポーネントと言います。
エピトープとは?
本日最後の単語です。
アレルギーの勉強をしていると、時折耳にする「エピトープ」という単語。
これは、特異的IgE抗体が結合する特定のアミノ酸配列を指します。
先ほどのアレルゲンコンポーネントに出て来た、オボムコイドを例に挙げると…
○-○-○-○-O-V-O-M-U-C-O-I-D-○-○-○みたいなイメージです。(実際にOVOMUCOIDというアミノ酸配列があるのではありません)
このイメージ上のOVOMUCOIDの部分をエピトープと言い、実際にオボムコイド特異的IgE抗体がくっついて、アレルギー反応を起こします。
上の例のように一直線にアミノ酸が並んだ状態のエピトープを連続性エピトープと言い、二次元、三次元構造をとる中で重なった状態のエピトープを構造的エピトープと言います。
例えば、
O
V
O-M-U-C-O-I-D-○-○-○
上の例では縦のOVと横のOMUCOIDが重なっているエピトープに特異的IgEがくっつくイメージです。
もっとシンプルに表現するなら、
食べ物=森、コンポーネント(タンパク質)=木、エピトープ=葉
というイメージですが、いかがでしょうか?
今回の解説でなんとなくでも、イメージできるようになっていると嬉しいです。
これから、今回の用語も使って更なる食物アレルゲンの世界を表現したいと思います。
すると、専門医の先生が話している事がもっと理解し易くなるはずですので、ゆっくりとでも着実に学んで行きましょう。
ではまた次の記事にて
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