2月に入りスギ花粉の猛威に、困った事がある受験生が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
例えば、
1.鼻水が垂れてきて、ティッシュが手放せない
2.鼻詰まりの為、口呼吸が中心になり、喉が弱い
3.蓄膿症(副鼻腔炎)を起こし、頭痛がキツかったり、頭がぼーっとしてしまう
などの症状で、春先の時期に集中出来ない辛さが私自身花粉症なのでよくわかります。
そうは言っても、受験の日は徐々に近づいて来るし、日々の学びを疎かにはできません。
世間一般では、花粉を家に持ち込まないように〜といった、対応策を良く耳にするのですが、ちょっと強めの花粉症患者である私には、ほぼ効果を得られませんでした。
また、一般的に処方されるお薬は効果が出てくるまでの時間が意外にかかる事をご存知でしょうか?
抗ヒスタミン薬:効果が得られるまで約2週間
例;商品名)アレグラ・アレジオン・アレロック・ビラノア・クラリチン等
ロイコトリエン受容体拮抗薬:効果が得られるまで約1週間
例;商品名)シングレア・キプレス・モンテルカスト等
ステロイド点鼻薬:効果が得られるまで1-2日
例;商品名)ナゾネックス・アラミスト等
今回は「もう受験が近くて、即効性のある治療法を知りたいんです!」と仰る方へ朗報です。
そんな方にオススメしたい、比較的即効性のある対処法2選を本日お伝えしたいと思います。
例によって、まずは結論から。
1.鼻うがい
2.フェキソフェナジン+プソイドエフェドリン配合錠(ディレグラ®︎配合錠、プソフェキ®︎配合錠)
私個人としは、この二つをオススメしています。
と言うのも、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の主な治療方針は
1.抗原(原因物質)の除去と回避
2.薬物療法
3.アレルゲン免疫療法
4.手術療法
の4つですが、そのうち3.免疫療法と4.手術療法は必ずしも即効性がある治療法とは言えません。
どちらかと言うと、数ヶ月もしくは数年単位の時間をかけて治療効果を求める方法です。
一方、1.抗原(原因物質)の除去と回避はアレルギー診療の基本ですが、一般的な対応(窓を開けないや掃除の励行、部屋に入る前に服を払う)だけでは、軽症の患者さんを除いて私のように症状の改善が中々得られない患者さんの方がいらっしゃいます。
1.鼻うがい・鼻洗浄
この方法は1.抗原(原因物質)の除去と回避の一つですが、直接鼻の粘膜にある抗原を除去するので、即効性が期待できます。
具体的な方法は以下の動画をご参考下さい。
新潟大学耳鼻咽喉科公式 鼻うがい・鼻洗浄の方法
私自身、仕事から帰ってきた後、鼻がすっきりしない時や、鼻の奥に鼻汁があるにも関わらず、鼻をかんでも鼻水が出てこない場合に鼻うがいをやる事があります。
この方法の問題点として、あまりに鼻閉が強い場合は鼻うがいの液が上手く通らない為、効果が得られない可能性があります。
その為、鼻うがい・鼻洗浄は鼻づまりタイプではなく、くしゃみや鼻汁が悪さをするタイプに限り有効な可能性があります。
では、鼻つまりがきついタイプの方はどうしたら良いのでしょう?
私が個人的に鼻づまりタイプの方にオススメしたいのが
2.フェキソフェナジン+プソイドエフェドリン配合錠(ディレグラ®︎配合錠、プソフェキ®︎配合錠)になります。
これはフェキソフェナジン(商品名:アレグラ®︎)に、プソイドエフェドリンと言う血管収縮薬を合わせたお薬です。
鼻炎症状の鼻づまり(鼻閉)は、炎症により拡張した血管から水分が漏れ、周囲に浮腫を起こす為に発生します。
実は鼻腔という場所は頭における空気の通り道の中心的な場所なのです。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会HP参照
その為、鼻の粘膜が浮腫み、頬や額にある副鼻腔(上顎洞や前額洞)との交通(空気や液体の流れ)が悪くなると、鼻水などの体液がどんどん溜まり、圧が高まる事で痛み(頭痛や頬の痛み)が出てきたり、細菌が繁殖すると熱を持ったりします。
ここまで症状が進行すると、頭痛や熱で普段より集中力が落ちやすくなるのも容易に理解できるかと思います。
基本的に感染症を起こしているならば、抗生剤による治療が必要です。
一方、単純に鼻の粘膜の浮腫による鼻閉や副鼻腔の痛みの場合であれば、プソイドエフェドリンによる効果で、浮腫みが取れると鼻の症状がとても改善します。
私の患者さんの一人は、この配合剤を使ったところ初めて匂いを感じる事が出来たと言われるくらい衝撃を受けた方もいらっしゃいました。
言い換えると、浮腫が強い場合の症状は生活の質に与える影響が大きくなるという事です。
もちろん、内服にあたり気をつけるべき点もあります。
高血圧の患者さんや心疾患のある患者さん、交感神経刺激薬による不眠・めまい・不整脈がある患者さんには用いる事が出来ません。
他にも、連続で使用する期間は2週間程度までしか安全が確認できていない、等のデメリットもあるので、使用には注意が必要です。
また、対象となる年齢が12歳以上である事も要注意なのですが、ある意味で受験生にとってはちょうど良いのかもしれません。
プソイドエフェドリン自体は皆さんが良くご存知の風邪薬にも含まれている、ありふれた薬剤です。
https://www.plamedplus.co.jp/ing/ogn048.html
似たような作用をもつメチルエフェドリンは、市販の子ども風邪薬シロップにも使用されています。
https://www.info.pmda.go.jp/ogo/J1701000234_01_01
そう考えると、極端に新しいお薬という程のものではありません。
必要に応じて、主治医の先生とぜひご相談ください。
というわけで、今回は花粉症(アレルギー性鼻炎)による頭痛等の症状で困っている時に使える緊急的な対処法2選について解説させて頂きました。
多分に個人的見解を含む為、必ずしもこの内容が「正解」とはならない方もいらっしゃるかと思いますが、それでもやはり花粉症の症状で苦しむ患者さんが少しでも楽になり、受験で本来の実力を出してもらえるならば、それに越したことはありません。
では、また次の記事にてお会いしましょう。
※今回の記事に関して、利益相反(特定の団体から金品などの授受)はございません。
と言うより、そんな立場ですらありません( ˊᵕˋ;)
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