一般的な食物アレルギー診療では、食物アレルギーと思われる症状が出た後、採血検査で現在のアレルギーの数値がわかったら、食べる検査(負荷試験)でどの程度食べることができるかを評価します。
負荷試験の後、アレルゲンそのものを食べていく患者さんが一定数いらっしゃいますが、食物アレルギー診療におけるゴールは負荷試験で食べることができる量を見つけることではありません。
真のゴールは
- アレルゲンを克服する(耐性獲得)こと
- 日常生活に支障がないようになること
上記のどちらかを目指す形になります。
ただし、それぞれ対象とする患者さんのイメージが異なります。
1.アレルゲンを克服する(耐性獲得)こと
アレルゲンを克服することをゴールとする患者さんは、鶏卵・牛乳・小麦などの生活に必要な食材のアレルギーで、年齢が若い患者さん(乳幼児〜中学生、時に高校生)が主な対象となります。
一方、稀なアレルゲンである魚卵やナッツ(ペカンナッツやマカダミアナッツ)などの生活の質にあまり影響しないような食材のアレルギーは、完全除去して誤食しないように注意するように説明しますが、耐性獲得目指して自宅で定期的に食べてもらったりすることは少ないです。
また、大きくなってから(特に成人)の食物アレルギーは自然に耐性獲得することが少ないため、アレルゲンを除去もしくは食べても症状が誘発されない程度の摂取(エビアレルギーだけどエキス程度は摂取できるなど)に留めるよう説明します。
2.日常生活に支障がないようにすること
上記をゴールとする患者さんは、生活に必要な食材のアレルギー(鶏卵・牛乳・小麦)であっても、アレルゲンを食べることが難しい(一定の量を食べると軽い症状が出る、味が好まなくて食べる進めることができないなど)場合です。
その場合は、無理やりアレルゲンの摂取を進めるのではなく、症状なく食べることができる加工品などの摂取を勧めたり、加工品の中でもアレルゲンの含有量が多い食材について注意を促したりして、日常生活で困ることが少なくなるように指導します。
このように、患者さんの年齢や食材、特に患者さん自身の気持ちに合わせてゴールを設定、考えを共有したうえで、そのゴールに向かって歩んで行くのが専門医の仕事だと考えています。
次に食物アレルギーのゴールの記事を書く際には、具体的な目標設定について記したいと思います。
では、また次の記事にて
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